2017-06

★ 真桜ちゃんの日常Ⅵ だゾ ★ - 2014.05.26 Mon


今日も今日とて……。

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ガーネットにとって、それは俄かには信じられないことであった。しかし、目の前の光景は紛れもない事実。さらに、

顧 「何も特別なことはしていない。真桜殿はこれと同じものを道具屋に卸しているそうじゃないか。道具屋の主人が教えてくれたよ。こんな大切な日を控えていても、真桜殿は依頼をキャンセルすることもなく自分の無理な注文をこなしてくれた、とね」

 自分の全身全霊を賭けた仕事が、真桜ちゃんにとってはいつもと変わらない仕事と同じだというのか。ダガーを手に取り、ガーネットは改めて一人の鍛冶師としての目でその出来を確認した。
 一見どこにでもある普通のダガーだ。しかし、強度・重量・扱いやすさ・・・そのどれもが黄金比で計られたかのごとく完璧なまでの仕上がり。
 
顧 「正直、私も信じられなかったがね・・・実際に手に取ってみて納得したよ」

 兵士の命を救ってくれたあの時、その場に居合わせた誰もが真桜ちゃんの作業に気を取られ、その事に気が付いていた者はいなかった。
 
 少女の力で鎧を切り裂いていくダガーの切れ味の鋭さに。

顧 「改めて言おう。君や真桜殿の鍛冶師としての腕は間違いなく一流だ。だが、真桜殿には君にはないもう一つの素質をもっている」
ガ 「そ、それは・・・?」
顧 「心を打つのだよ。真桜殿の創り上げるモノは鉄を打つだけでなく、人の心を打ち震わせる。宮廷の外に出れば君も判るだろう。道具屋、魚屋、庭師・・・それだけじゃない、真桜殿と関わりのある者達が、この小さな少女が宮廷鍛冶師になったことを喜ぼうと集まっている光景を見れば」

 鍛冶師として誰にも負けたくなかった。
 父を超え、工房を大きくし、名声を得たかった。すべては自分自身の為に。だが、この少女はいつでも誰かの為にその腕を振るってきた。その想い一つが、創り上げたモノに不可視のチカラを与えているのだとすれば、

ままま

 いや、そもそも自分は鍛冶師として同じ土俵にすら立ててはいなかったのかもしれない。不思議と悔しさはない。ただあるのは、自分はまだ鍛冶師としてもっと成長できるという喜び。そして、自分もこの少女と同じように人の心を打つ鍛冶師になれたとき、改めて宮廷鍛冶師として選ばれたいという欲求であった。

ガ 「枢機卿・・お願いがあります」
枢 「?」
ガ 「どうか真桜殿を宮廷付鍛冶師として任命してくださいますようお願い申し上げます」

 そう言ってガーネットが深々と頭を下げ、二人の鍛冶勝負の行方は幕を下ろしたのであった。




 宮廷を後にし、真桜ちゃんがアパに戻ると、なぜかタマゴがドレス姿で着飾ってソワソワとしていた。

真 「ただいま~^^ って何してるんですか? タマゴさん?^-^:」
タ 「おおぅ! お帰り真桜ちゃん^^ いや、これはあれだ・・・」

 ごにょごにょと口籠り、それからキリッ! と言い放つ。

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タ 「ほ、ほら、もし真桜ちゃんが宮廷鍛冶師になったら、保護者として挨拶にいかないといけないじゃん? それが礼儀じゃん? そのとき誰が見てるか判らないし、玉の輿のチャンスをみすみす・・・・いやいや、保護者として恥ずかしい恰好なんてできないじゃないですか!」

 部屋の隅では我関せずとピエール君がお茶を飲みながらも、貴婦人というよりはただの奇人じゃないですか・・・溜息を洩らし、真桜ちゃんも苦笑いを浮かべる。

5.jpg

 ずっとタマゴの傍にいて、その背中を見てきても、まだまだ判らない事が多すぎる人であるww

タ 「で、どうだったの? って、いやいや、言わなくても判ってる^^ 真桜ちゃんの腕前は誰よりも私が一番判っています! 真桜ちゃん、宮廷鍛冶師任命おめでと・・・・」
真 「あの! それなんですが・・・^-^: やっぱり辞退してきちゃいました^-^:」

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タ 「ななななな何故に!? それってすごい事なんだよ? 名誉なことなんだよ!? 私の玉の輿の・・・・ゴホンっ、どうしてまたっっ!」
真 「それは・・・」

 ガーネットが真桜ちゃんを宮廷鍛冶師に推薦し、枢機卿もそれを認めてくれようとしたとき、今まで感じたことのない喜びは確かに自分の中にあった。
 自分自身が認められたという喜び。
 しかし、そこには自分が一番欲しいと願う幸せはないだろうと思ったのだ。宮廷付鍛冶師になれば、これまでのような生活はきっとできなくなる。色々な制限だって出てきてしまうだろう。
 街の人達と触れ合い、時には協力し合っていく事も、今までのようにはできなくなるかもしれない。
 そしてなにより、真っ先に思い浮かんだ愛しい二人の顔。
 そうなのだ。
 真桜ちゃんの幸せはいつだってタマゴやこばとの傍にいて、その笑顔と共にあることなのだから。

 それ以上の幸せがどこにある?

タ 「ま、真桜ちゃんがそう決めたのなら、それが一番だよ^^ うん・・・そうに間違いない・・・」

 それでも少しガッカリしているように見えるのは玉の輿のチャンスがなくなったから? そんなタマゴの姿に微笑み、

真 「そうだ! タマゴさん、これから酒場に行ってポーカーでもやりにいきませんか! 私、やり方よく判らないから教えてください^^」
タ 「む! 堅実質素な真桜ちゃんが賭け事ですと! ふふふ・・・そこまで言われては仕方ありませんね。これまでは伝授していなかったが、ポーカーの神髄を教える時が来たか! そうと決まれば善は急げだ!」
真 「はーい^^」

 嬉々として駆け出していくタマゴの背中を見つめ、今日も真桜ちゃんは幸せに包まれているのでした。

                              タマゴファミリー物語~真桜ちゃんの日常~ 完


 余談であるが・・・
 その日、酒場で一つの伝説が生まれた。
 フラリと現れた一人の少女がまさかの連戦連勝。大金を手にするも、保護者らしき女性が狂ったように負け続け、その大金は全てその返済に充てられたという・・・

酒場にはいつまでも【堪忍やで・・・堪忍やで・・・】という声が聞こえていたという・・・


6.jpg

★タマゴファミリー物語~追憶編~に続く!?★


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