2017-10

★ 真桜ちゃんの日常Ⅳ だゾ ★ - 2014.05.18 Sun


 今日も今日とて……。

 チチチチチッ・・・
 チュンチュンチュン・・・・

 日が昇り始めると同時に外は明るさを増し、小鳥たちのおはようの囀りを聞きながら真桜ちゃんは最後の手を止めた。それから大きく息を吐き出し、

完成


 仕事の完了を告げた。

真 「なんとか間に合った^^」

 この三日間、付きっきりだった仕事を無事に終えられた安心感と充実感。工房内には道具屋に頼まれていた50のダガーと、宮廷付鍛冶師になるための勝負につかう武器が並べられている。と、

タ 「真桜ちゃん、入っていい?」
真 「タマゴさん! どうぞ^^」

 真桜ちゃんが仕事に取り掛かると同時にタマゴも出掛けていたのだが、ちょうど帰ってきたようだ。ドアを開け、それから手にしていたカップを真桜ちゃんに差し出す。真桜ちゃんの好きなインドの紅茶だ。

タ 「道具屋の仕事は終わったみたいだね」
真 「はい^^」
タ 「で、宮廷に持っていく物は?」
真 「あ、コレなんです^^」

 そう言って差し出すと、それを手にしたタマゴがやや驚いたような表情を見せる。

タ 「宮廷付鍛冶師になれるかどうかって勝負になんというか・・・また真桜ちゃんらしいモノを作ったねぇ」
真 「^-^」

 しかし、それが今の真桜ちゃんに出来る最高の・・・そして自分を示す最大限の一品なのであった。




出かける準備を済ませ、タマゴに見送られながらアパを出る。宮廷での約束の時間は正午。まずは道具屋に注文品を卸し、それからゆっくり行っても十分に間に合う。

真 「それでは行ってきますね^^」
タ 「真桜ちゃん・・・」

 手を振って歩き出そうとした真桜ちゃんをタマゴが不意に呼び止めた。

タ 「真桜ちゃんはこの前、自分が宮廷付鍛冶師に選ばれたら嬉しいかって聞いたよね?」

 突然の問い掛けに意味が判らずコクリと頷く。

タ 「真桜ちゃんが本気で宮廷付鍛冶師になりたいと願い、もしそれが叶ったなら私はすごくうれしいよ。でもね・・・」

 そしてタマゴはいつものように優しく真桜ちゃんを抱きしめた。少し塩の香りが残る、いつものタマゴの匂い。真桜ちゃんの大好きな匂いだ。

タ 「それが私やこばとの為に・・・って考えているんだったらちょっと複雑かな。真桜ちゃんには自分の為に幸せになってほしいから」

 あぁ、あの時隠していた本心はこれだったのか・・・それから【自分の幸せ】ってなんだろうと考え・・・その答えは考えるまでもなくすぐに浮かび上がってきた。

真 「大丈夫です^^ 私はいつだって自分の事を考えています。だって・・・タマゴさんの子供ですよ?^^」
タ 「そっか^^ それなら安心だ^^」

 そういって背中を押したタマゴに笑顔で応え、真桜ちゃんは道具屋に向かって歩き始めた。
 事件が起きたのは、真桜ちゃんが道具屋に注文品を卸し、海岸沿いに王宮へと向かおうとした時だった。

なんだろ


 港場に人だかりができ、大声で何事か叫んでいる。

 鍛冶師はまだか!
 駄目だ・・・急用があるとかで話も聞いてくれねぇ!
 クソッ! これじゃあ治療が・・・ッ

 怪我人? それならどうして医者ではなく鍛冶師? 不思議に思い群衆を掻き分けて中に入り、真桜ちゃんはその理由に気が付いた。
 担架の上に横たわった血まみれの兵士・・・あの鎧はフランス海軍のものだろうか。港にはフランス旗を掲げた軍船が停泊している。その鎧が内側にひしゃげて兵士の身体にめり込んでいた。そのひしゃげ具合から見て、考えられる原因は至近距離で大砲の暴発を受けたに違いない。
 暴発を至近距離で受けて命があるのは、高性能と名高いフランス海軍特注の鎧のおかげに違いないが、今はそれが逆に兵士の命を消し去ろうとしている。
 鎧を脱がさねば治療はできない。が、ひしゃげて身体に食い込んだ鎧を脱がすことができないのだ。
 担架に伝わる血がみるみると広がっていくのを見て、真桜ちゃんは無意識に駆け出していた。兵士の前に膝まづき、状況を確認する。

? 「おい、なんだお前は!」
? 「子供がこんなところに出てくるんじゃない!」


 近くで見て、事の深刻さ改めて実感する。
 上に引き抜こうとすれば身体の内側にめり込んだ鎧片が血管を裂いてしまうだろう。やるとすればまず鎧を裂いて細かくし、血管を傷つけないように横から抜くしかない。しかも、少しの圧力ですら兵士に負担がかかり、それだけで命を落としかねない。
 最小限の力で、最も効率よく鎧をバラすにはどうすればいいか?

? 「聞いているのかお前! 邪魔だと・・・」

黙


? 「なんだとっこの小娘が・・・ッ」
 
 真桜ちゃんに怒鳴り返された男が激昂したように手を振り上げる・・・が、その手が振り下ろされることはなかった。背後から現れた別の男がその腕をつかみあげていた。
 この兵士の上官だろうか。そして、その男の瞳が真っ直ぐに真桜ちゃんに向けられ、問いかけている。

助けられるか? と。

 正直、それは真桜ちゃんにも判らない。確率は良くても半々。それでももう迷っている時間はない。こうしている間にも兵士の命の灯は弱くなっているのだ。

真 「私に任せてもらえますか?」

 真桜ちゃんの言葉に、男は黙ってうなずいた。
 それを合図にするかのように、真桜ちゃんは懐から一本のダガーを取り出すと、鎧の構造を頭に入れて裂き崩していくルートをシュミレーションする。
 誰もが息をのんで見守る中、真桜ちゃんは出血により顔面蒼白になった兵士の頬にそっと手を触れた。どんなに最小限の力でやろうとも、ダガーで鎧を切り裂いていくには少なからず身体に負荷はかかってしまう。
 その苦しみを少しでも和らげようと、真桜ちゃんは優しく笑みを向けたのだった。

真 「必ず助けます。私を信じて^^」

 その笑顔に見惚れたかのように・・・兵士はコクリと頷いた。
 
 まるで天使が起こした奇跡のようだった・・・・その場に居合わせた者達は後にこの出来事をこのように語った。
 それほどまでに真桜ちゃんの作業は神懸っていた。
 幾重にも折り重なった難解なパズルを解くように、ひしゃげた鎧が見る間に分解されていく。そして、最後のパーツをはがし終ったとき、群衆からどよめきにも似た喝采が鳴り響いた。
 大きく息を吐き出して地面に尻餅をついた真桜ちゃんに変わって、すぐさま待機していた医師が治療に取り掛かる。ここから先、真桜ちゃんが出来ることは兵士の生命力を信じて祈るだけだ。
 治療の邪魔にならないよう立ち上がろうとした真桜ちゃんに、先ほどの男がそっと手を差し伸べた。その手を掴もうとして・・・自分の手が血だらけになっていることに気づき、慌ててひっこめようとしたが、それよりも先に手を掴まれる。
 男の手に引かれ立ち上がった真桜ちゃんに、男は深々と頭を下げた。

男 「どなたかは知らぬが礼を言わせてくれ。苦しむ仲間と、そんな仲間を目の前にして何もしてやれぬ我々の苦しみを君が救ってくれた」
真 「いえ・・・そんな・・・」
男 「この礼は後日改めてしたいと思う。もしよろしければ貴女の名前を教えていただけないだろうか? 私は・・・」

あああ


 男の言葉を遮るように思わず大声を上げ、真桜ちゃんは慌てて頭を下げた。宮廷での約束は正午・・・すでに太陽は頭上にまで昇っている。

真 「あの、私・・・急いでて・・・お礼とかそういうのいいですから・・・」
男 「ま、待ってくれ・・・」

 呼び止めようとする男にもう一度頭を下げ、真桜ちゃんは群衆を掻き分けて王宮へと向かって駆け出すのであった。

                                                 続く

★押してくれると嬉しいな★


スポンサーサイト

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

★ マル秘ノート⑭ だゾ ★ «  | BLOG TOP |  » ★ やれる事はやってきた・・・だゾ ★

プロフィール

タマゴ

Author:タマゴ
活動場所 B鯖 ヴェネチア
所属商会 ★たまご倶楽部★

冒険&収奪メインで航海中。最近は出番がめっきり少なくなってますww

最新記事

最新コメント

FC2ブログランキング

★ 押してくれると嬉しいな ★

FC2Blog Ranking

カテゴリ

未分類 (582)
こばと劇場 (692)
愉快な仲間達 (8)
★真桜日記★ (46)
寸劇 (21)
沈没船 (16)
動画 (3)
★聖地巡礼★ (25)
企画モノ (9)
★こば模擬★ (1)
★マル秘ノート★ (19)
★ナポリ陸戦練習会★ (1)
★ PT勝ち抜き戦 仕様 ★ (1)
★大海戦★ (13)
こみP (59)
★ 陸戦動画 ★ (3)
M・B戦略室 (2)

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2カウンター